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現代にも存在する「海賊」

「海賊」は現代でもまだ存在していることをご存じですか?海賊と聞くと、アニメやマンガなどを思い浮かべたり、帆船が多かった大航海時代の話だと思われる方もいるかもしれませんが、現代でも脅威とされています。

海賊に襲われることの多い危険海域は、東南アジア、南アメリカ、アフリカ(ギニア湾、アデン湾、紅海、ソマリア沖)が多く、商船を狙っていろいろな方法で金品や機械・装置類を奪おうとします
被害は特にソマリア沖が多く、国際問題となってきました。ソマリアは1991年以降、中央政府のない状態がつづき、情勢も不安定なため、海の上の強盗が増えたのでしょう。もともとは漁師だったグループが、政府が崩壊した影響もあり魚を輸出できなくなり、また海に産業廃棄物が捨てられるようになると放射性物質が流れ相次いで病気に。生活が困窮したあげく、武装して海賊になったという悲しい背景もあります。(初めから海賊になった者もいますが…)

海賊はどうやって乗り込んできて、何をするのか

現代では信じがたいですが、彼ら海賊は小さなボートや高速船で商船に近づき、乾舷(船の横側)に長いはしごをかけて、自力で登ってきます。それからはタイプによっていろいろなやり方があるのですが、

  • 銃やロケットランチャー、ナイフをふりかざして金品を要求
  • 人質を取り、身代金を要求
  • バレないようこっそり侵入して金品を盗む
  • 船舶そのものを横取りする(その後、貨物輸送に使用)

などの手口を使ってきます。

まさに海の上の強盗です。

海賊対策①護衛艦によるエスコート

こうした襲撃が相次ぎ、対策が打たれるようになりました。その1つとして有効であるのが、護衛艦による商船のエスコートです。日本の船もソマリア沖を通ったりしますので、日本の護衛艦2隻が常駐しており、巡回したりエスコートしたりしてくれています。各国からも護衛艦を送っていますし、哨戒機(軍用の飛行機)で空からもチェックしてくれています。これは心強いですね!

海賊対策②船舶に対策装備

もう1つの対策として、海賊をとにかく近寄せない、船舶に乗り込ませないための対策を船舶自身に装備します。結構原始的なやり方が多くマンガのようですが、命がかかっており本気です。

放水

船舶から勢いよく放水する仕組みで、海賊船が近くに来た際にボートを転覆させたり乗り込ませるのを阻害する役目があります。

フェンス

船舶の乾舷のふちに、まるで有刺鉄線のようなワイヤーを巻きつけたり、ねずみ返しのようなフェンスを取り付けたり、かみそり型のワイヤーや電気フェンスを装備し、海賊が登ってこられないようにします。

レーザー光線

船舶固定タイプもあればGunタイプもありますが、緑色の閃光を放ち、一時的に目くらましさせたり、目を見えづらくさせる効果があります。

ソニック兵器(音響)

人間の許容レベルよりも高いノイズピッチの音を出し、海賊を遠ざける方法です。当然、船員側は自分自身がやられないように耳あてをする必要があります。

弾道ネット

ネットを飛ばして海賊のボートのプロペラなどに絡ませ、推進力を奪う方法です。

悪臭液体

近くまで海賊が来てしまったときに、悪臭のする液体を飛ばし、しばらく足止めさせる方法です。

海賊対策カーテン

大量放水に合わせて、暴れホースをいくつも組み合わせることで、比較的小型船舶でも広範囲で海賊対策を行えるようにしたもの。日本の企業NYKグループのMTI(Monohakobi Technology Institute)が開発し、特許出願しました。

(写真:MTIアンチ・パイレイシー・カーテンの開発より引用)

電磁波

皮膚の内側まで突き抜ける電磁波によって、灼熱感を味わわせる方法です。

ドアや窓の工夫

ブリッジからドアロックする仕組みや、2重扉の仕組み、また打たれてもガラスが飛び散らないよう飛散防止ガラスにするなどの工夫が取られています。

手りゅう弾

投げ込むと爆発してゴム弾を発射し、大きな音や光を放ちます。

スタンガン

最後の手段で、万が一接近戦になってしまったときに使います。

まだまだたくさんありますが、どれも相手に致命的な傷は負わせることなく、追い返したり登ってこられなくする方法ばかりです。
危険海域を航行する際は今まで以上に警戒し、見回りをしておく必要がありますね。

海賊に対する世界の取り組み

年々エスカレートしていく海賊行為に対し、1992年にIMB(国際海事局)”Piracy Reporting Centre”(海賊行為報告センター)を立ち上げました。このセンターは世界の航路を24時間監視し、海賊による攻撃があればローカルの法執行機関へ報告したり、船舶へ情報を提供したりしています。実はこのセンターができる以前は、ローカルの機関は海賊行為があるのを知りつつも、見て見ぬフリをすることが多かったのです。

センターのホームページからは、海賊の報告システムや、海賊発生のリアルタイムレポート(Live Piracy Report)、よく襲われる海域などを見ることができます。たとえば最近のレポートだと、

2018年9月25日 ナイジェリアの公海にて
6人の武装海賊がタンカーに近寄り、タンカーはスピードを上げて避難行動をとったが、海賊はタンカーにむけて発砲。その後連絡した護衛艦が近づいてくるのを見て、海賊は逃げて行った。

という事例があったことがわかります。

昔に比べると海賊行為はだんだん減ってきているとは言われていますが、こういう事例を見るとまだまだ油断はなりませんね。

実話をもとにしたリアルな海賊映画「キャプテン・フィリップス」

こういった実話をもとに作られた映画があります。「キャプテン・フィリップス」という2013年のアメリカ映画で、トム・ハンクス主演です。

上で紹介した放水措置も映画で出てきますし、なにより海賊が乗り込んでくるシーンがとてもリアルに作られていてドキドキします。この緊張感を撮るために、キャプテン役(トム・ハンクス)と海賊役の俳優たちは本番まで顔を合せなかったそうです。

また、トム・ハンクスは実際のフィリップス船長と何度も会い、話を聞いて、忠実に再現したそうですよ。
実際の海運企業”マースクライン”やアメリカ海軍などに協力してもらって、ダイナミックに撮影されています。
面白いですよ!

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★その他関連資料
日本船主協会『航行安全の問題(海賊編)』(2014):ソマリア沖での海賊被害の実態や対策について写真つきで詳しく書かれています

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