艦艇かんてい”の意味について

艦艇かんてい”というのは、主に軍事用の船や潜水艦の総称です。日本では、防衛省・海上自衛隊に属する船や潜水艦のことを指します。よく言われる”軍艦”は海軍艦艇のことで、艦艇の一種です。日本は軍隊をもたない国なので、”軍艦”ではなく、”艦艇”と呼びます。(または”護衛艦”、”掃海艦”など個別の種類名で呼んだりします)

艦艇という単語をかんていに分けてみましょう。かんは比較的大きな船(shipに近い)、ていは比較的小さな船(boatに近い、先のとがったシャープな船)を表します。およそ排水量600t以上の船を艦、600t未満の船を艇と呼んでいることが多いです。また、艦は外洋航行し、艇は沿岸付近で活動するといった分け方もあります。

艦艇の大きさを重さ(排水量)で表す理由

上で艦艇の大きさを表す基準として、船の重さである”排水量”を用いましたが、艦艇の世界では昔から船の大小を排水量で表す慣習があります。理由は、かつての艦艇の値打ちは、いかに大きな大砲を積んでいるか、いかに重い装甲板(船体などを防護するための板)を装備しているかなどで決まっていたため、重さが基準となったのです。現在では機器の電子化等に伴い軽量化・小型化が進んでおり、必ずしも排水量の大きい船が価値があるわけではなくなっていますが、今も昔からの流れで「基準排水量」を用いて表します。

※排水量=船が押しのけた分の水の重さ=船の重量 →詳しくはこちら:『船はどうして浮くの?』
※船の重さ・大きさを表す単位については、こちら:『トン?トン数?船の重さ・大きさを表す単位』

艦艇の種類と役割

現在の日本の艦艇は、警備艦けいびかん補助艦ほじょかんに大きく分類されます。おおまかに言うと、戦闘能力を持つのが警備艦、持たないのが補助艦です。(※中には当てはまらないものもあります)

★現在日本が所有している艦艇は、海上自衛隊公式HP『装備品』からご覧いただけます。

艦艇の分類表
大分類 中分類 船の種類
警備艦
(戦闘能力あり)
機動艦艇 護衛艦
潜水艦
機雷艦艇 掃海艦
掃海艇
掃海管制艇
掃海母艦
哨戒艦艇 ミサイル艇
輸送艦艇 輸送艦
輸送艇
補助艦 補助艦艇 練習艦
練習潜水艦
訓練支援艦
多用途支援艦
海洋観測艦
音響測定艦
砕氷艦
敷設艦
潜水艦救難艦
試験艦
補給艦
特務艇

警備艦

警備艦はさらに、機動艦艇きどうかんてい機雷艦艇きらいかんてい哨戒艦艇しょうかいかんてい輸送艦艇ゆそうかんていの4つに分類されます。まずは分かりにくい言葉の意味を明らかにしておきましょう。

機動きどう = 部隊・兵器などを、状況に応じてすみやかに展開・運用すること
機雷きらい =「機械水雷」の略で通称 “海の地雷”。船が接近または接触したときに自動または遠隔操作にて爆発する水中兵器。
哨戒しょうかい = 敵に対して見張りをして警戒すること

それぞれの艦艇の役割はつぎのとおりです。

・機動艦艇

国や船舶の安全が脅かされる事態に素早く出動し護衛する。また、海上警備、対潜水艦任務などを行う。主に外洋で活動する。《護衛艦、潜水艦》

・機雷艦艇

機雷を処理または危険のない海域に移動させ、船舶航路の安全を確保する。《掃海艦、掃海艇、掃海管制艇、掃海母艦》

・哨戒艦艇

領海内や沿岸部等で防衛・警備のほか、災害の救難活動をする。《ミサイル艇》

・輸送艦艇

武器(戦車、戦闘機)、人員などを輸送する。《輸送艦、輸送艇》

補助艦

補助艦のなかの中分類は、すべて補助艦艇となっています。補助艦艇のなかには、練習艦や、海洋観測艦、潜水艦救難艦などがあります。隊員の練習・訓練のためであったり、海底地形や海中の状況を観測し潜水任務や機雷除去等に役立てたり(情報収集)、航行不能になった潜水艦を救助したりする役目があります。

※砕氷船(南極観測船「しらせ」)についてはこれまで海上自衛隊で補助艦として運用されてきましたが、人員を他の艦艇に活用するために運用を撤退し民間委託することが検討されています(2019年)。人手不足のなか豊富な艦艇経験のある隊員が砕氷船に乗るのがもったいないという考えもあるようです。しかし、技術が進んだとはいえ砕氷船の扱いは難しく、また極地の厳しい自然環境は何が起きるかわかりません。民間が(ヘリも含めて)運用するには危険すぎるのではないでしょうか。いずれにせよ、まだ議論は続くようです。

おまけ1 戦艦の時代は終わった

”戦艦”といった言葉もよく聞くかと思います。戦艦は大日本帝国海軍時代に活躍した軍艦の一種ですが、現代にはもう存在しません。戦艦は大砲を主な武器としていて、敵の船を撃ち沈める戦い方をしていました。しかし戦いの場に航空機が登場すると、大砲で撃ち合うよりも空から攻撃したほうが有利となり、大きくて速度も遅く扱いにくい戦艦は造られなくなっていきました。そして、海上での攻撃は魚雷(水中戦)・ミサイルへと移り変わっていきました。現代は戦艦よりも小型で高速な駆逐艦(destroyer)が”護衛艦”として活躍しています。

おまけ2 艦艇にまつわるマンガ

アルキメデスの大戦

時代遅れの巨大戦艦”大和”の建造を食い止めようとする天才数学者の話。航空主兵主義 VS 大艦巨砲主義 の戦いです。
くわしくはこちら↓

漫画『アルキメデスの大戦』

沈黙の艦隊

潜水艦をテーマにした、かわぐちかいじによる作品。ロシアの原子力潜水艦と衝突して沈没したと報道された日本の潜水艦「やまなみ」は、実は乗員全員が生きていた。事故は、日米共謀で極秘に造られた原子力潜水艦に彼らを乗せるための偽装工作だった・・・。全32巻です。

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