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マイクロプラスチック、マイクロビーズとは?

マイクロプラスチックというのは、0.33mm~5mmのとても小さなプラスチック粒子のことを言い、海や海洋生物に悪影響を与えるといわれています。まだまだ研究段階の新分野の1つです。また、マイクロビーズは、マイクロプラスチックよりさらに小さく、濾過装置なども通り抜けてしまう、ポリエチレン製のプラスチックです。
わたしたち人間が出すプラスチックゴミが海へ流れると、どんどん小さく砕かれていき、やがてこういった粒子となります。また、研磨剤や洗顔料、歯磨き粉、美容製品、合成繊維の衣類などにもマイクロプラスチックは含まれており、排水などを通じて海へ流れてしまいます。プラスチックはバクテリアなどの生物によって分解はされないため、自然に戻ることなく、最終的には小さな小さな粒子の状態で残りつづけることになるのです。

マイクロプラスチック、マイクロビーズによる脅威

海洋生物への影響

こうした非常に小さいプラスチックの何が問題なのでしょうか。その1つとして、魚や海鳥などの海洋生物がエサと間違えて食べてしまい、体内に蓄積することが挙げられています。プラスチック内には生物に有害な化学物質が含まれているため、海洋生物の健康や生態系に影響を与える可能性があります。またプラスチックには栄養がないため、食べても食べても身につかず、餓死状態で死んでしまうということもあります。

人間への影響

また、人間がそういった海洋生物を長年食べつづけたり、水道水として飲み続けたりすることで、人間の体内にも蓄積することになり、いずれ健康被害が出るのではないかと言われています。魚の場合は内臓を食べなければマイクロプラスチック摂取量は減るかもしれませんが、ムール貝や牡蠣といった貝類の場合は非常にリスクが高くなります。

マウスを使った実験があります。マウスにマイクロプラスチックを含むエサを与えると、肝臓、腎臓、腸に蓄積し、肝臓における酸化ストレス分子のレベルが上昇しました。また脳においても有毒と思われる分子のレベルが上昇しました。試験管での実験では、プラスチックに含まれる化学物質の一種が乳がん細胞の増殖を増加させることも示されています。

自分たちが出したプラスチックゴミが、回り回って自分たちの体内に蓄積されるのです。もちろんまだ、”人間に健康被害が出る”といった明確な研究結果が出ているわけではありませんが、誰が考えても平気とは思えませんよね…。悪い結果が出てからでは手遅れなのです。

プラスチックのとんでもない海への流出量

世界中で海や湖、河川などのマイクロプラスチック量調査が行われています。
毎年約880万トンのプラスチックが廃棄物が海へ流れ、そのうち約27万トンが海に浮かび、残りは岸に漂着しているか海底に沈んでいるか、と言われています。プラスチックゴミ総量では1億トン以上となっており、2050年には海に漂うプラスチックゴミ総量が世界の魚類の総重量と同じになる見込みです。

意識の低い日本

日本の使い捨てプラスチック使用量はなんと世界2位です。(1位は大量消費大国アメリカです。)こんな小さな国土の日本が世界で2位なのです。それなのに、国としての対策の動きはまだまだ遅く、国際社会から厳しい目で見られています。

【他国の動き】
EU→ 2030年までに使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する案を公表
フランス、インド→ 2016年にプラスチック製レジ袋を禁止
オランダ、ポルトガル、インドネシアなど→ レジ袋を有料化
アメリカ→ 2015年に日常のケア製品におけるマイクロビーズの使用を禁止

日本はどうでしょうか。最近、ストロー規制やレジ袋有料化、有害プラスチックから植物などを原料としたバイオ素材のプラスチックへ変更していくといった動きを見せ始めていますね。しかし、2018年6月に行われたG7「海洋プラスチック憲章」には署名しませんでした。まだまだ国民全体の意識が低いことがわかります。

私たちがすべきことは

一人一人がプラスチックゴミを減らすために何をすべきか、何ができるか考えていきましょう。

  • エコバッグ
  • レジ袋をもらわないようにする

  • ゴミの分別をきちんとする、不法投棄をしない
  • プラスチックゴミも燃えるゴミに混ぜて捨てる人は結構います。ゴミの日によく観察していると中身や量から明らかにわかります。家電は処分代を後で取ると不法投棄が増えるため、デポジットとして先に取り、廃棄時にお金が戻ってくるようにすべきです。

  • スーパーはバラ売りへ
  • 野菜や果物など、海外ではよくバラで山積みにされていますね。ところが日本はほとんどプラスチックでパッケージされています。全員が神経質になりすぎだと思います。

  • 3Rならぬ4R
  • Reduce(減らす), Reuse(再利用する), Recycle(リサイクルする)の3Rは有名ですが、世界ではRefuse(やめる)を加えた”4R”の動きがあります。日本はリサイクル率だけは約70%と高いのですが、その他のReduce, Reuse, Refuseが大変少ないため、結局ゴミ総量が減りません。

  • 生産者責任と消費者責任(「売らない」と「買わない」)
  • プラスチックに関して、生産者責任と消費者責任を法律である程度規制しなければ、だれも動きません。生産者は過剰にプラスチック包装して売らないこと、消費者はなるべく長く使えるものや過剰包装のものは買わないこと、こうした意識を双方が持つことが重要です。

  • 船の生活排水grey waterの規制
  • 船のgrey water排水は特に処理することが求められておらず、海へ垂れ流し状態です。(→「船の汚水(下水)はどう処理している?」)black water同様、処理するのが望ましいです。濾過すらも通りぬけるマイクロビーズは現在では除去が難しいかもしれませんが、マイクロプラスチックの段階ならかなり取り除けます。また船内で使用する生活製品にはマイクロビーズが含まれていないものを使用するなどを検討する必要があります。(これは陸での生活でも同様です)

小さなことでも全員が考えて行動に移すことが大切です。生命資源の海を守りましょう。

【参考】ゴミを出さない暮らし、”ゼロ・ウェイスト”

ゴミをどう処理するかではなく、ゴミを出さないようにする社会をつくる、そういう考え方が”ゼロ・ウェイスト”と呼ばれています。

以下、ゼロ・ウェイストアカデミーという団体HPに書かれている、ぐっと刺さる言葉です↓

『目に見えなくなったら、無関心になる。多くの社会問題の根底にある問題です。
ごみも同じ。ごみ箱に捨てて、回収車がごみを収集してくれたら…
その後どうなるかなんて考えないし、自分が捨てたものが何かなんて覚えていない。
でも、ごみは私たち全員が関わっていること。
今一度、考えてみませんか。』

★ゼロ・ウェイストに関するオススメ本
家族4人が1年間に出すごみの量が約1リットルという、驚異の「ゼロ・ウェイスト」生活を続けている著者。シンプルライフのヒントとなります。また翻訳者自らがゼロ・ウェイスト生活を実践したリポートをサイト上で読むことができます。これがとても面白く、1つでも2つでも今日から実践できることはないかな、とワクワクします!小さなことでも一人一人が行動を変えていけば、世の中は大きく変わります。

 

参考文献:
『What are microplastics?』 National Ocean Service
『Plastic debris in the Laurentian Great Lakes: A review』Journal of Great Lakes Research
『Are Microplastics in Food a Threat to Your Health?』healthline
『レジ袋有料化、コンビニも対象 環境省が素案提示』日本経済新聞

海の環境問題に関する他の記事もどうぞ:
『海の生態系を壊すバラスト水問題とバラスト水処理装置の種類』
『船の汚水(下水)はどう処理している?』

*2021年3月、NPO法人環境保全ネットワーク京都さんのパンフレット『プラスチックごみについて考える』にSHIP for Everyoneのイラストが用いられました。パンフレットはこちらからご覧いただけます。私たちひとりひとりが小さなことでも意識して行動を変えることで、大きな力となります。

4 Thoughts on “マイクロプラスチックとは?プラスチックゴミが与える脅威”

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