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船内で水を飲む、料理をする、シャワーを浴びる、お皿を洗う、トイレを流す、衣類を洗濯する・・・毎日大量の水が必要となりますが、これらはどこから調達するのでしょう。

着岸した際に港から調達する方法もありますが、大部分は「造水装置(Fresh Water Generator)」と呼ばれる機械で海水から作っています
海水から清水(せいすい, きれいな水のこと)を作る仕組みには大きく2つあります。蒸発法と逆浸透法です。

蒸発法

海水を蒸発させ、その蒸気を集めて冷却すれば清水を取り出せる、というシンプルな仕組みです。(いわゆる”蒸留”です)蒸発させる際の熱はエンジンの冷却水を利用します。エンジンの冷却のために使われた水は排熱を含んでおり、高温状態だからです。しかし、高温といっても実際は70℃ほどで水を蒸発させるには至りません。そこで、気化を行うタンク内を真空状態にして大気圧を下げてあげるのです。すると沸点も下がるため低温で水が蒸発します。「富士山の頂上では水が早く(82℃で)沸く」のと同じ原理ですね。

濃縮した海水は再び海へ放出されます。取り出した清水はそのまま生活用水や雑用水として使われます。飲み水にする場合は、この清水にミネラル成分を加えて殺菌装置にかけます。※ミネラル成分を加えないと、まずくてとても飲めない状態です。普段飲んでいるお水に感謝・・・☆ですね。

逆浸透法

逆浸透膜(Reverse Osmosis, 通称RO)という特殊なフィルターを使って、海水の塩分や細菌を除去する方法です。このフィルターは水は通しますが塩分や細菌は通さないという性質をもっており、海水に圧力をかけてこのフィルターに通し、真水だけを取り出します。濾過と言ってしまうと、なんだか穴が大きいのではないか、穴から他の物質も漏れて通るのでは、と思ってしまいますが、実際は穴とは言えないほど非常に小さい開口部で、水に溶けていた化学物質でさえ取り除くことができます。
蒸発法に比べて、こちらのほうが高価なシステムとなるため、通常の商船においては蒸発法のほうが主流ですが、毎日大量の水を必要とする客船やフェリーなどでは逆浸透法が用いられることが多いです。

海水から作っているとはいえ、コストのかかる高価な水となっていますので、船内ではなるべく節水にこころがけたいものです。

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使ったあとの水はどうなるの?⇒『船の汚水(下水)はどう処理している?』

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