船には”重さ”を表す単位と”大きさ”を表す単位があります。これらのどちらにも”トン”という言葉が入ってきますが、意味合いが異なります。

1.船の ”重さ” を表す単位 :トン (英語でton) [tonf]

船の重さのことを「排水量(displacement)」といいます。どうしてこのような言い方をするのかというと、アルキメデスの原理より「船の重量は、船が押しのけた分の水の重量に相当する」ということでしたね。(→詳しくは『船はどうして浮くの?』)したがって船の重さのことを、排除した水の量「排水量」と呼びます。排水量の単位は ”トン” で表し、工学単位は重量を表す[tonf]です。

※質量に対して、重量というのは力を表す単位です。質量mなら重量は重力加速度をかけたmgとなります。国際単位系ではN(ニュートン)で表しますが、工学単位系では質量単位の後ろにfをつけて表します。… gf, kgf, tonfなど

 
排水量は船にモノをどれくらい積んでいるかによって変わってきますよね?したがって次の3つの定義があります。

排水量
満載排水量まんさいはいすいりょう Full Load Displacement
貨物・燃料などをMAXに積んでいる状態での排水量(満載状態での船全体の重さ)
軽荷重量けいかじゅうりょう Light Weight
貨物・燃料などを全く積んでいない状態での排水量(船単体の重さ)
載貨重量さいかじゅうりょう Dead Weight
①-②(積載できる貨物・燃料などのトータルの重さ)

ここではやはり③が重要となってきます。必要な燃料やバラスト水などを差し引けば、運賃を取れる貨物をどれだけの重さまで積むことができるのかがわかるからです。


 

2.船の ”大きさ” を表す単位 :トン数 (英語でtonnage) [m3]

一方、造船所の建造能力を表したいときや、貨物に対する税金を計算したいときは、重量ではなく大きさ、つまり容積が必要となってきます。これを”トン数”で表し、工学単位は容積を表す[m3]です。

容積といっても、どこからどこまでの、どの部分まで含めるのかによって変わってきますね。したがって次の2つの定義があります。

トン数
①総トン数 Gross Tonnage
船内の囲まれた部分の全容積に係数をかけたもの
もともとは100立法フィート(=2.83m3])をトン数1として数えていましたが、1969年に計算方法が国際的に統一され、以下のようになりました。

国際総トン数(GT) = K1・V
K1 = 0.2 + 0.02log10V
Vは船内の囲まれた部分の全容積[m3]
②純トン数 Net Tonnage
①-(航海に必要な区域の容積)
つまりは貨物や旅客を載せる部分の区画容積を表します。

ここではやはり②が重要となってきます。税金などの計算の基準とされる数値です。

以上、”トン数”というのは普段聞き馴染みのある重さ単位の”トン”と違って、船の容積を表す単位なのです。

 

おまけ ~「トン数(tonnage)」の歴史と語源~

昔、西洋ではワインを樽(tun, タン)につめて、船で運んでいました。このとき税金は樽の数に対して計算されていたため、tunが変化した”tunnage”が指標として使われるようになりました。そうするうちに、どれだけ樽を積めるか(容積)の指標としても使われるようになったと言われています。やがてtunnage→”tonnage”へ変化し、”トン”の語源となったといわれています。(重量トンの語源も同じと言われています)

1720年になると、今度は船の重量によって税金が計算されるようになりました。しかし1780年代に蒸気船が登場すると、この制度は蒸気船にとっては不利となりました。蒸気船はボイラーや蒸気機関、水・石炭を積まなければならず、船の重量(税金)のわりには貨物は少ししか載せられなかったのです。

そうして1854年以降、重量ではなく容積によって計算される仕組みが確立していきました。これが今のトン数税制へとつながっています。

※Tonnageに関する詳しい論文がありました→ 『Tonnage measurement of ships: historical evolution, current issues and proposals for the way forward』

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