AIS(Automatic Identification System, 自動船舶識別装置)とは
AIS(Automatic Identification System, 自動船舶識別装置)とは、船名、航路、位置、速力などの船舶情報を発信する無線機器です。専用の受信機によってこの情報を受信すれば、電子マップ上でリアルタイムに航行する船舶の情報を見ることができます。
国際船舶や大型船舶など、一定条件下の船舶にはこの装置の搭載が義務づけられています。
・国際航海に出る、300総トン数以上の大きさのすべての船
・国際航海に出る、すべての旅客船
・500総トン数以上の大きさのすべての船
AISは比較的新しい技術であり、ここ20年ほどで開発が進んできました。もともとは、せまい水路や港で船が混雑したり、夜間の航海で目視では他の船が見えにくいことなどから、船舶どうしの衝突を回避するために開発がスタートしました。いまでは安全性が向上したのはもちろんのこと、世界中の船の動きがマップ上で見られることで世界の荷動きや港のトレンドが分かったり、個人でも船の位置情報を知って楽しんだりできるようになりました。
※こういったマップを見るには、ブラウザ版では『MarineTraffic』(https://www.marinetraffic.com)がオススメです。
スマホアプリでは、『MarineTraffic』(無料)または『FindShip』(無料)が便利です。レビューはこちらの記事をどうぞ。
→[アプリ]MarineTraffic – 船の現在位置と詳細情報がわかる!
→[アプリ]FindShip – 船の現在位置と詳細情報がわかる!
従来のAISと衛星AIS
基本的に、AISは専用の受信機が陸上(沿岸部)に設置されており、船舶からのAIS信号を受信してデータを取得しています。陸上局では、AIS信号を受信できるカバーエリアがだいたい20~30海里(約37~55km)となっています。
しかしこれだと、船が沿岸部から離れてカバーエリアから外れてしまったり、そもそも水平線より遠くの海に出てしまったら、AIS信号を受信できなくなります。そこで近年では、人工衛星にAIS受信機を搭載し、陸上から検知できない船を宇宙から検知する仕組みが開発されています。AIS信号は水平方向には20~30海里(約37~55km)しか届きませんが、垂直方向には約500kmでも届くため、人工衛星は検知することができるのです。
※上で紹介した『MarineTraffic』では、衛星AISで取得した船もマップ上には表示されますが、船名や航路などの詳細情報は別途有料サービスです。アプリでは「Access Plus 24」というサービスに120円支払うと、特定の船舶につき、支払い後24時間のあいだのみ衛星AISの情報を得ることができます。
AISの電源を意図的にオフにするケース
一定条件下の船舶にはAIS搭載が義務づけられていると書きましたが、以下のような場合はAISの電源をオフにすることが許されています。したがって、必ずしも義務づけられた船舶すべてがマップに表示されるわけではないので注意が必要です。
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- アフリカ東沿岸などの危険海域を通るとき(海賊対策)
アフリカ東沿岸部などは、ハイジャックならぬ”シージャック”(海賊)が多く、商船が自分の船舶情報をさらして航行すると狙われるおそれがあり危険です。こういった危険海域を航行する際は、AISの電源をオフにする船が多いです。海賊についてはこちらの記事もどうぞ。→『現代にも存在する「海賊」の実態と対策』
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- 海上自衛隊や海上保安庁、水産庁などの船が職務を遂行するとき
海上自衛隊や海上保安庁、水産庁などの船は、その動きが事前に知られると職務に支障が出ることがあるため、AISの電源をオフにしているケースがあります。
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- 漁船が漁場を知られたくないとき
大型漁船がいつも出向く穴場の水域を知られないようにするために、AISの電源をオフにすることもあります。
紀伊水道を航行する船舶をドーロンで撮影を企画するのに大変役に立ちました。
現役Dry Bulker乗りです。AISは間違いなく非常に役に立っています。此れの情報で行き会い船の現状が把握出来るので必要な避航動作も早期に取り易く安全確保が確実に成りました。但し問題はAIS情報の仕向け港名を昔は実名称で示していたので直感的に行き合い動作も想定できましたが何時の頃からか陸上に巣食いながら海の上を支配しようとするIMOの指令か何かで略語で表示させられているので正確な港名を知るのに時間を喰う様に成りました。親方日の丸の無駄飯食いを乗せているフネならば人員を割いて関係図書を調べれるでしょうが商船はケープサイズでも船長を含め3名で内海・沿岸の航海をしていて余裕が無いのでVHFで仕向け地の確認する等の二重手間に成って居るばかりでは無く港の数が本当に多く、且つ英語も通じ難い日本沿岸では此の略語表記は航海の危険要素に成っていますから直ちに実名表記に戻して貰いたいと願っています。