船の推進器のあゆみ

船はどうやって進むのでしょうか。
古代の船では、かいなどの長い木の板を使って人の手でこいでいました。(『人力で船をこぐ!櫂(かい)と櫓(ろ)の違い』)やがて18世紀には、帆を張り、風の力で船を進めるようになりました。陸で蒸気機関が発明されると船にも適用され、外輪と呼ばれる車輪を回して走るようになりました。1826年になると、チェコとオーストリアの発明家Joseph Resselさんによってプロペラが製作されました。

プロペラが普及したきっかけ

プロペラができたころはまだ外輪船が主流で、本当にプロペラが推進効率が良いのか疑われていました。たしかに、当初のプロペラはネジのような形をしたもので、なにかと不十分な点が多く、取り入れられませんでした。
しかし1835年、ある事故がきっかけでプロペラが大きく発展します。イギリスの Francis Pettit Smithさんは、運河で2ピッチ分のネジ型プロペラをつけたボートをテスト走行させていました。するとテスト中にブレードが破損してしまい、1ピッチ分だけが残ったにもかかわらず、これまでより速く進んだのです!これがきっかけで現在のような形へと進化していきました。

また、同時期の1845年、2隻のイギリス艦艇を使った実船実験が行われました。どちらも蒸気機関で、1隻はプロペラをつけたRattler号、もう1隻は外輪をつけたAlecto号でした。なんと、この2隻の船尾どうしをロープでつなぎ、引っ張り合いをしたのです。結果は、プロペラをつけたRattler号のほうが2.5ノットの速さで引っ張り、勝利しました。この実験以来現在に至るまで、プロペラは最も優れた推進器とされ、開発が続けられることとなります。

現在の推進器

現在の推進器はプロペラをベースとした以下のものが主流です。

1.スクリュープロペラ (Screw propeller)

日本語では「螺旋らせん推進器」と呼び、固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラに分かれます。固定ピッチプロペラの場合はプロペラの羽とボスが固定されていますが、可変ピッチプロペラの場合は羽のピッチ角を変えることができます。前進させている船を後進させるためには、固定ピッチプロペラの場合は、プロペラ正回転→停止→逆回転をしなければなりませんが、可変ピッチプロペラだと、プロペラ正回転のままでピッチを逆に変えるだけで後進状態になるため、より短時間で船を停止させたり後進させたりすることができます。(関連記事:『船は急には止まれない(プロペラ逆回転 vs 旋回)』

2.ウォータージェット推進器(Water Jet Propulsion)

船底からポンプで水を吸引し、船の後ろに向けて水を噴射する勢いで進む方式。通常のスクリュープロペラに比べると推進効率は悪く、価格も高くつきますが、一式セットで売られているのを簡単に装備できるというメリットがあります。また、船の方向は噴射するノズルの角度を変えればよいため、舵も不要となります。小型高速船にはよく使用されています。
実はウォータージェットでも噴射ノズルの内部にプロペラのような羽が入っているんですよ。

3.フォイトシュナイダープロペラ(Voith-Shneider propeller)

円型の装置からいくつかの翼が垂直に装備された推進器で、それらが回転することで推進力を生み出す複雑な推進器。各翼の迎角を変えることができるため、細かい推進性能に優れており、タグボートなどに使われていることがあります。しかし、構造が複雑なうえに高価で、ロープなどをひっかけやすいということもあり、最近ではポッド型プロペラに置き換わりつつあります。

シュナイダープロペラについては、わかりやすい動画を見つけました↓↓

4.ポッド型プロペラ(Azimuth thruster)

ポッド型プロペラは、別名アジマススラスターなどともいいます。azimuthというは”全方位の”、thrusterは”推進器”という意味です。通常のプロペラは船体に固定されているため、方角を変えるときは舵を使いますが、ポッド型プロペラはそれ自体が360℃回転するため、舵が不要で細やかな動きも可能になります。大型客船や砕氷船などに用いられています。

Share this:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です